法学類について

政治学部門

西村 茂

【2007年度担当科目】

行政学,政治社会学

【最近の研究分野】

行政・地方自治,EU統合,電子政府・電子民主主義,地方議会の役割,音楽と社会など

【学生へのメッセージ】

これまでの自分を振り返って,一番面白いと思ったことを紙に書き出してみて下さい。

さらに,もしできたら,自分がしてきたことを少し詳しく箇条書きにしてみて下さい。

次に,本当に,心底面白いと思ったことに関連する,新聞・雑誌の記事を集めてみて下さい。

これをできたら最低1年間続けて下さい。

きっと充実した生活につながると思います。

木村 高宏

【2007年度担当科目】

公共政策論

【最近の研究分野】

政治的・社会的関与の希薄化,公共サービスの公共性

【学生へのメッセージ】

私の「公共政策論」で通奏低音のように流れるトーンは,「公」とされてきた部分の有り様が変わりつつあるのだ,という雰囲気です。

従来,日本語で「公」と言ったときには,それはほぼ「行政」や「政治」みたいなもの(=officialなもの)と同義でしたが,「公」や「公共」とは「公共政策」が「public policy」であることに示されるとおり,本来は「public」に対応した言葉ですから,近年では,そこに立ち返って,公共の事柄を扱うのは必ずしも official なセクターだけでなくてもよいだろう,という風に近年では考えられるようになってきています。

その「公」とは何か,ということの検討の前にまず,これまで「公」とされてきた行政がなぜどのようなことをなしてきたのか,ということを確認しておく必要があるでしょう。ここでは簡明に整理されている新書を薦めます。

新藤宗幸『行政ってなんだろう』岩波ジュニア新書,1998年。

岡田 浩

【2007年度担当科目】

計量政治学,公共選択論,情報処理

【最近の研究分野】

社会の変化と,それを受けた人々の意識の変化が,政治参加や政党のあり方をどのように変えていくのかについて研究しています。

【学生へのメッセージ】

「計量政治学」や「公共選択論」を担当します。「計量政治学」では,現実の政治現象の観察から理論を作っていく研究方法(帰納的研究)について学び,「公共選択論」では,政治家は次の選挙での自らの再選を目的として行動する,などの一定の仮定から政治現象を説明する理論を作り,その理論から現実を説明しようとする研究方法(演繹的研究)について学びます。ともに政治学の両輪をなす研究方法(アプローチ)です。

政治学・法学・社会学など社会科学系の学問の研究方法についての入門書としては,高根正昭『創造の方法学』(講談社現代新書・初版1979年)が,わかりやすく,お奨めです。

私が研究している,社会の流動性の高まりなど最近の社会的変化や,それを受けた人々の意識の変化がもたらす「新しい政治」のあり方については,私も1つの章を担当した,賀来健輔・丸山仁 編著『政治変容のパースペクティブ』(ミネルヴァ書房・2005年)が,最近の政治変容全体の見通しを得るのに良いと思います。

仲正 昌樹

【2007年度担当科目】

政治思想史・市民社会論

【最近の研究分野】

「ポストモダン思想」の日本における受容,現代社会における「リベラリズム」の可能性,インフォームド・コンセントを中心とする医療倫理

【学生へのメッセージ】

政治思想史という科目は,ちゃんと勉強しようとすれば,政治学の常識的な知識だけでなく,西欧史,近代日本史,哲学史,法哲学,文学などかなり多岐にわたる教養が必要なので,正直言って,手軽な総合的入門書のようなもので,読んで面白いというのは,ありません。強いて私の授業に関連しているもので,値段とページ数が手ごろなものをあげるとすれば,齊藤純一著の『公共性』『自由』の二冊(いずれも岩波)と盛山和夫著の『リベラリズムとは何か』(勁草書房)が“お勧め”です。私は勉強に関する「まじめな質問」にはかなり丁寧に答える方ですが,講義で気を抜きたい人にとっては,やたらにきついイヤな先生だと思います。(普通の本屋で売っている)総合雑誌や文芸誌などに時々,法学部の専門の授業とはほとんど関係ない軽い時事ネタのエッセイとかコラムを書くこともありますが,「面白いことを言う先生」と思われては困るので,授業中はあまり軽いことを言わないようにしています。この方針は多分変わりません。

楠根 重和

【2007年度担当科目】

国際コミュニケーション論

【最近の研究分野】

マス・メディア,国際イメージ ,市民参加とインターネット,偏見

【学生へのメッセージ】

マス・メディアが世界観を形成し,それに基づいて国際政治も行われていることは,意外に知られていません。しかもマス・メディアから流される情報が,それぞれの国家の利害ないしイデオロギーによって,その報道と価値と解釈が異なっている。このようなことから,国際関係は複雑なものとなっている。いわば国際関係に私たちの認識が直接関係しています。国際コミュニケーション論では,そのようなマス・メディアと国際政治を,様々な角度から分析しています。

私たちはある程度この日本と世界について知っているような顔をしていますが,実際のところ,私たちの知識そのものはとても偏向しており,そのような知識と知識の衝突は,不毛であります。ですから,このような研究には,自己の知識の源泉を問うという作業も入ってきます。この両方を追求して,世界を公正に見ることができ,世界的な公共圏で議論することができるようになります。国際コミュニケーション論はそのようなことを教える学問です。入門書としてはこの春に信山社から出版予定の楠根重和著『国際コミュニケーション論』を出版されたら,読むことを薦めます。

鹿島 正裕(法学類準専任)

【2007年度担当科目】

国際関係論,外国文献研究(英語)

【最近の研究分野】

中東諸国の政治・国際関係

【学生へのメッセージ】

国際関係論は,国際社会が現在どのようになっていて,それはどうしてかをある程度過去にさかのぼりつつ調べることにより,今後どうなりそうかを考える学問です。国家は200近くあり,国際組織やNGOも多数ありますし,それらの諸関係は政治面だけでなく経済や文化にも及びます。したがって研究教育対象は非常に広範で,一つの学部をなすことができるほどですが,私自身はこれまで,主に東欧や中東,そして日本外交を中心に研究してきました。留学・在外研修もエジプト,アメリカ,ハンガリー,フランスで合計6年以上になります。講義では,教科書で概説的なことを学んでもらいつつ,私の得意な分野に力点をおいて話します。ますますグローバル化する社会で働き,生活するのに,国際関係の知識はいっそう必要になっています。手軽な入門書としては(そう易しい本ではないですが),中西寛『国際政治とは何か』(中公新書,2003年)をお勧めします。

アンドリュー・ビートン (Andrew Beaton)(法学類準専任)

【2007年度担当科目】

比較政治学

【最近の研究分野】

アメリカの外交史,日米関係史,日本政治

【学生へのメッセージ】

私のクラスでは,英語と日本語で授業を行います。受講者は比較政治学の重要な概念と理念を学ぶだけでなく,英語のコミュニケーション能力を上達させることもできます。さらに,外国人の目を通して見た歴史や国際情勢に触れることによって世界観を拡げることもできます。私の授業に興味があるなら,入門書として『比較政治・入門』(有斐閣アルマ,2000年)をお薦めします。また,COMPARATIVE POLITICS TODAY?A WORLD VIEW(Longman, 2004年)を読めば,英語での基礎知識を学ぶことができます。このように,留学しなくても,金沢に居ながら,外国に居るのと同じような環境で勉強することができますし,留学を希望している学生には,役立つトレーニングとなるでしょう。

2007年度「法学部ハンドブック」より