足立英彦(法理学)
さて、金沢大学法学部にご採用いただいてから三年が経過しました。これまで、教職員の皆様のご支援を受けつつ、優秀な金大生を相手に教育活動を行ってきましたので、何か苦労をしたような記憶が一切ありません。単に私が怠惰だっただけなのかもしれませんが・・・。これからも皆様よろしくお願いいたします。
金沢に来る前は、ドイツのキール(Kiel)大学に学生として在籍していました。1998年10月から2004年9月まで、6年間滞在したことになります。そんなに長くドイツにいたのであれば、ドイツのことは北から南まですべて見聞し、文化・芸術その他あらゆることを知っているのだろう、などと思わないでください。キールという街はドイツ最北のシュレスビッヒ=ホルシュタイン州に位置し、どこへ行くにも時間のかかる所です。そして何より、当時は執筆中の論文のことで頭がいっぱいで、それ以外のことを考える余裕がなく、せっかくのドイツ滞在をあまり楽しむことができませんでした。
日本に戻ってから数度、ドイツを再訪する機会がありました。昨年の夏には、研究のための資料収集を目的に、ハイデルベルクとフライブルクという、日本でも有名な南ドイツの街に行ってきました。資料収集は予想外に簡単に終わってしまいましたので、余った時間を利用して、いわゆる観光旅行もしてきました。とくに気に入ったのが、フライブルク郊外のシャウインスラント(Schauinsland)というところで、ロープウェーで標高約1000mの山に一気に登り、そこからの絶景を楽しむことができました。ロープウェーの駅にはフライブルクから路面電車とバスを乗り継いで行くのですが、車窓からは南ドイツの田園風景を堪能することもできました。
獅子吼高原に登った際、真っ先に思い浮かべたのがこのシャウインスラントの風景でした。両者は非常によく似ているように思います。行き方が獅子吼はバス→電車なのに対してシャウインスラントは電車→バスという順序の違いがあり、また標高や地形も違いますが、金沢・フライブルクという中規模の町の郊外にあって、ロープウェーで登っていくといった点はそっくりです。なんだかドイツに舞い戻ったような、そんな気分にもなりました。
お時間があれば是非、獅子吼に行かれることをお勧めします。家族でも楽しめますよ。
2007年8月29日掲載