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法学類月報第131号を発行

法学類月報第131号を発行

法学類月報は、広報委員会および学生ボランティアの協力により、法学類の最近のトピックやコラム、エッセイなどを通じて法学類の「今」を関係者の皆様にお伝えするものです。

※試行的にhtml版を直接掲載しています。PDF版はページ下部のリンクからご利用いただけます。


5月に入り暑い日が増えてきました。この時期はまだ体が暑さに慣れていないため、軽い運動などで少しずつ体を慣らしていきましょう。緑生い茂る⾓間を散歩して、野鳥を観察するのもいいですね。今号は稲角先生からの離任の挨拶、早津先生によるシンポジウム開催報告です。


教員エッセイ 第87回 稲角光恵(国際法)

金沢では美しい四季の彩とともに様々な鳥の思い出があります。時に学生のランチ泥棒となるトンビや、研究室窓横での巣作り阻止攻防するカラスは別として、角間キャンパスに響くウグイスやキジの鳴き声は風情がありました。金沢市内では、ひがし茶屋街で軒下の巣からのぞく子ツバメや、金沢駅西口のスイレンとハスの池で泳ぐ親ガモと子ガモは、毎年愛らしい姿と成長を見守ることが密かな楽しみでした。特急列車の車窓から見る秋・冬の渡り鳥の群れ、水の張られた田んぼにたたずむシラサギ、シラサギよりも体格のよいコウノトリの目撃も良い思い出です。列車「はくたか」は北陸新幹線に名前が残りましたが、昔乗った「白鳥」は消え、米原・名古屋行の「しらさぎ」と京都・大阪行の「サンダーバード」は、北陸新幹線の延伸により敦賀止まりとなり寂しくなりました。

金沢駅の池にたたずむ親ガモと子ガモ

金沢駅の池にたたずむ親ガモと子ガモ

私も3月末で金沢を巣立ち、新天地の静岡県へと飛び立ちました。金沢大学の皆様には大変お世話になり、感謝の言葉は尽きません。「隠れた(水面下の足掻き)努力を表にしない優美な白鳥の姿」や「立つ鳥跡を濁さず」、「鶴の恩返し」など、見習いたいけど鳥にかなわない点が多々ありますが、今後ともよろしくお願い申し上げます。

 
金沢大学の雪景色

金沢大学の雪景色

 

最近の出来事から:シンポジウム「能登半島地震で起きたこと」

能登半島地震の発生から1年と3か月あまり、また、奥能登豪雨から半年あまりが経った2025年3月23日(日)、「能登半島地震で起きたこと―災害時の法的支援のこれからを考える」と題したシンポジウムを開催いたしました(シンポジウム名と同名の特集企画が、法学セミナー2025年3月号にも掲載されていますので、そちらもご覧ください)。

シンポジウムの様子

シンポジウムの様子

シンポジウムでは、被災者と直接向き合う弁護士たち(本学出身者も複数含まれます)による現状分析・課題提起や、復旧・復興の最前線に立つ公務員の現状・声、また課題を伝える報告にはじまり、本学教員からは私のほか、石尾教員(民法)、石田教員(社会保障法)、稲葉教員(憲法)、永井教員(刑法)、宮本教員(民法)が登壇し、現場から伝えられた声を基に学術的分析を試みる報告を行いました。意見交換の時間にはフロアとの闊達な議論もなされ、さらなる検討課題も明らかとなるなど、たいへん貴重な機会となりました。

パネリストの方々

パネリストの方々

参加者(法学類の学生含む)の方々からは、改めて災害対応を考える機会となり勉強となった、また、より法学の勉強をすすめていくうえでの良いきっかけになったなどの声も聞かれました。

もっとも、法学者である本学教員も、また、登壇した他の方々も、決して「災害対応/研究のプロフェッショナル」などではありません。むしろ、完全な「素人」であり、我々が生活を送る石川の地で直面した災害を契機として、これまで災害対応/研究に取り組んできた先達のプロフェッショナルたちの助力を得つつ、一から学び、取り組んだのが今回の機会です。このため、我々もまだまだ「不勉強」な感は否めず、「未熟」な状態と言わざるを得ません。今回の機会を経て、さらなる学びを継続し、発信を続けていかねばならないと思いを新たにした次第です。

このことは、「学生」だけが「一から学ぶ」のではなく、大学教員も常に「一から学ぶ」機会があること、そして、絶え間なく新たな課題にチャレンジしていかなければならないことを意味します。学生のみなさんも、大学教員がおよそ「完成形」などではないこと、そして、学生と同じく常に「学び続ける」必要のある存在であることを改めて知っていただいたうえで、我々教員とともに学ぶことのできる機会を大切にし、チャレンジする気持ちを忘れないでいただけると嬉しく思います。

能登半島の復旧・復興はまだ道半ばに過ぎません。今後も、微力ではありますが、災害に起因した法律問題に引き続き取り組んでまいります。こういった取組みがほんの僅かばかりにでも、能登半島が抱える課題、ひいては、日本が抱える課題を考えるうえでの視点の一端を提供できるものとなれば幸いです。

登壇者一同、引き続き、被災地における一日も早い復旧・復興の進展を祈ってやみません。

シンポジウム会場の様子

シンポジウム会場の様子

早津裕貴(准教授・労働法)


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  • 2025年4月28日:初出時、稲葉実香先生のお名前が誤っておりました。お詫びして訂正します。