法学類月報第121号を発行
法学類月報は、広報委員会および学生ボランティアの協力により、法学類の最近のトピックやコラム、エッセイなどを通じて法学類の「今」を関係者の皆様にお伝えするものです。
※試行的にhtml版を直接掲載しています。PDF版はページ下部のリンクからご利用いただけます。
梅雨も近づいてきましたね。金沢大学法学類では、外部講師をお招きし、法学や政治学に関する特別講演会を開催しています。みなさんも関心のあるテーマの講演会に、積極的に参加してみてください。今号は大友先生のエッセイ、法学類特別講演会を振り返って、「法学概論」Q&Aです。
教員エッセイ:第78回 大友信秀先生(知的財産法)
本年元旦に、石川県能登半島でマグニチュード7.6の直下型地震が発生し、最大震度は7に達しました。この地震により亡くなられた方は260人に達しました。
他方、6月8日にイスラエルにより行われた人質救出作戦では、パレスチナのガザで274人が死亡したと報道されました。ガザの犠牲者は、3万4千人を超えています。
少し前までは、新型コロナによるパンデミックで多くの命を失い、世界中で人の移動が禁止されていました。その記憶を消し去るように、ロシアによるウクライナの侵攻が始まり、民間人だけでも1万人以上の命が失われ、ガザではこれを超える民間人が命を失っています。
ウクライナやパレスチナの被害は想像を絶します。では、能登半島地震についてはどうでしょうか。これも想像できないのではないでしょうか。被災後何か月も水道が止まり、不自由な生活が当たり前になった様子を想像できますか。
伝統的法学部は、文献のみを使い学習したことにします。しかし、そのような学習で現実社会の問題に適切に向き合っていくことは可能でしょうか。実際にあなたが、法律問題を相談する立場になったとき、そんな学習しかしていない者に相談を持ち込みたいですか。
私は仲間とともに発災直後から、NPO輪島朝市の活動として、炊き出しや物資支援、外部への情報発信を行ってきました。
行動は視野を変えます。みなさんも学外に出る機会を持ってはいかがでしょうか。
最近の出来事から:法学類特別講演会を振り返って
5月29日に、ジャン=ルイ・アルペラン先生(パリ高等師範学校教授)と金山直樹先生(慶應義塾大学名誉教授)をお招きして、講演会を実施しました。1~2限の開催であったにもかかわらず、ほぼ満席であり、とても有難かったです。
皆さんは、日本の法律はヨーロッパから影響を受けているというお話しを聞いたことがあると思います。もちろん、このような見方をすることは間違いではありません。しかし、アルペラン先生の講演を振り返ると、世界レベルで法の歴史を語るときには、ヨーロッパを中心に据える必要はないことに気付かされます。なぜなら、法というのは、権力者が人々を統治するために、世界の各地で発明されたテクノロジーの一つだからです。「法の世界史」を語るときには、ヨーロッパ中心的な単線的な見方をすべきではなく、世界各地の複数の線(その一つには、ヨーロッパの植民地政策によって法が広まったことも含まれます)が複雑に入り混じる様子を観察する必要があると感じさせられました。
金山先生の講演では、フランス民法典(ナポレオン法典)の起草者であるポルタリスの著作『民法典序論』についてのお話しを伺いました。日本民法はフランス民法典から大きな影響を受けており、私たちにも決して無関係ではありません。さらに、ご自身の研究者人生について、挫折に関するエピソードも交えて振り返っていただけたことは、法学研究の面白さや、情熱をもって研究と向き合うことの大切さを教えてくれるものでした。
(石尾智久(民法))
Topics!:何でもQ&A!@法学概論
1年生対象科目「法学概論」のとあるひとコマ。「何でもいいから質問でも感想でも書きい!」という先生のリクエストに、たくさんの質問が届きました。授業内で答えきれなかったものに、ここで回答します!
Q:「法学概論」を受けて、世の中自分が思っているより闇が深いことを知った。
A:「法学概論」をした甲斐がありました。みなさん、気を付けて生活しましょう。
Q:裁判の傍聴に未成年者が1人で行っても大丈夫?
A:公開の原則にのっとり、何歳でも、何人で行っても大丈夫です。ちなみに、世間的に話題の裁判は入れません。すごい傍聴希望者が並びますから。
Q:法学に向いていないので絶望した。
A:色々なこたえかたがあると思いますが、むいているかどうかは、勉強においてはあまり問題ではないと思います。法学を学ぶ楽しさは、法分野ごとに異なりますので、いろいろ味見してみると世界が開けるかもしれません。その際の注意点は、口当たりのよい講義には要注意ということでしょうか。
Q:恋愛の極意を教えてください。
A:恋愛に疎い私ではございますが、相手の話をよく聞くことでしょうね。自分の話ばかりしているようでは、まだまだです。
※たくさんの質問や意見が寄せられて、先生も、学生さんとのやり取りは毎回とても楽しかったということです。月報での第2弾もあるかも?お楽しみに!
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