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法学類月報第113号を発行

法学類月報第113号を発行

法学類月報は、広報委員会および学生ボランティアの協力により、法学類の最近のトピックやコラム、エッセイなどを通じて法学類の「今」を関係者の皆様にお伝えするものです。

※試行的にhtml版を直接掲載しています。PDF版はページ下部のリンクからご利用いただけます。


大学の先生には落語とその枕のように、時事ネタから自然に講義内容に入る人がいますが、自分が教えてみて、あれはけっこう高等な技術であるとわかりました。今号は時事ネタ絡みの長内先生のエッセイ、特別講演会の報告、法友会の活動についての寄稿と教員人事(着任)のお知らせです。


教員エッセイ:
第72回 長内祐樹先生(行政法)

近時、某芸能事務所の性加害問題に関する記者会見における、事務所に都合の悪い質問(者)の排除、質問に対する回答への再質問の禁止が厳しい批判を受けている。

そうした報道を目にするたびに、政府の会見はなぜ批判されないのかと思う。民主主義国家において、政府や立法機関が国民への説明をきちんと果たすことは当然であり、批判されると答えようがないから予め質問自体を封じるという姿勢は、「民は由らしむべし、知らしむべからず」という言葉に関する国民は為政者に従ってさえいればよく、その意図を知る必要はないという解釈をまさに体現しているのではないだろうか。

そうすると、現在の為政者は、封建時代のお殿様か悪代官か何かなんだろうか?・・・政策の頓挫、政治資金管理、その他諸々、いずれも自己の都合に良いように法をとらえ、指摘されて初めて、しかも臆面もなく訂正したし法に触れていないので問題ないとふんぞり返る。やはり性悪の殿様か。

法律、少なくとも公法は、為政者を縛るルールであるはずなのだが、なるほど、彼らは「法は堂に上らず」とドヤ顔でいうのか。しかしこの言葉は、為政者は自らの失態には法の適用前に自ら律するという姿勢があることを前提とするのであって、性悪の殿様の自己正当化を許容する文句ではない。法に触れていないから問題ない?いい大人なら、まして国民に範を垂れるべき為政者であれば、法律に禁じてないからやって良いみたいな脱法的行為はしないという不文律はどこに行ったのだろうか。保守というならそういう古き良き政治倫理をこそありがたがってしかるべきではないか?

話が逸れたが、要は、今回の芸能事務所の件が、説明責任を放棄する為政者の姿勢を改める契機になると良いなぁと思ったという事です。

 

最近の出来事から:「労働法」を学ぶ特別講演会を開催しました

10月10日(火)、全国的にも有名な労働弁護士であり、大阪公立大学で特任教授として教壇にも立たれている塩見卓也弁護士をお招きし、「労働弁護士から見た労働事件と労働法を学ぶ意味—なぜ労働法が必要か?」と題した法学類特別講演会を開催しました。

塩見弁護士には、直近で全国報道された事件も含め、実際にご担当された事案を基に、にわかに信じ難いレベルでの違法さ・異常さを伴いながら、現実に日本で今まさに生じている労働問題の紹介を交えて、ご講演をいただきました。今まで実社会の一部しか垣間見たことのない学生(これは、労働法に関心がある者、法曹志望の者のみならず、社会に出て労働問題に直面しうる大多数の者に共通し、私自身も例外ではありません)にとっては、センセーショナルであると同時に、法的知識を身に付けることの意味、また、それをどのように用いることのできる可能性があるのか、そういったことを真剣に考える機会になったと思います。

座学も重要であることに変わりはありませんが、法律という道具が真にどういった意味を持つのか、また、持ちうるのか、そういったことを顧みる機会を法学類も随所で提供しています(し、皆さんの交友範囲では直接お目にかかることが困難な方々にお越しいただいております)ので、学生の皆さんもこういった機会をより一層積極的に活用いただけますと幸いです(同じ学費の範囲内ですし…)。

ご講演中の塩⾒卓也弁護⼠

ご講演いただいた塩⾒卓也弁護⼠

早津裕貴(労働法)

 

公認サークル:「法と教育学会」参加と社会見学(金沢法友会)

法教育の研究と実践を重ねている金沢法友会の学生と一緒に、9月3日に立教大学で開催された「法と教育学会」に今年も参加しました。学生の読者の皆さんは、学会と言われても、何をやっているんだろう?と思われるかもしれませんが、この学会は、法学と教育学の学際的なフォーラムとして、法教育の研究と実践の成果を発表し、議論を深める場となっています。以前は学生と共同で報告をしたこともありましたが、今回はコロナ禍にあって法友会がここ数年間オンライン形式で実施してきた法教育セミナーの成果と課題を、私が分科会で発表しました。学生は、午前中、分科会に分かれて色々な報告を聴き、午後は、基調講演とシンポジウムを聴講しました。

翌4日は、社会見学を企画しました。せっかくサークル活動の一環として東京まで来たので、個人で行く普通の観光旅行では訪れる機会のない場所へ行き、見聞を広めようという趣旨で、今年は、参議院、憲政記念館、有斐閣の3か所にお邪魔しました。有斐閣では、日頃お世話になっている六法や教科書が、どのようなプロセスをたどって読者の手元に届くのかを分かりやすくお話しいただくとともに、「『法学の面白さ』を高校生に伝えてみよう」というテーマでワークショップを体験させていただきました。

法友会メンバーと教員とでの記念撮影

福本知行(民事訴訟法・金沢法友会顧問)


教員人事のお知らせ

10月1日付で、法学類に工藤文講師(政治コミュニケーション論)が着任されました。

 


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  • 関係者の皆様のご寄稿を歓迎します。採用された方には、法学類グッズを進呈します。
  • 本誌のバックナンバーは、金沢大学法学類Webサイト(https://law.w3.kanazawa-u.ac.jp/category/brochure/geppo)に掲載していますのでご覧ください
  • また、メールでの定期配信(無料)をご希望の方は、金沢大学人間社会系事務部学生課 (n-kyomu※adm.kanazawa-u.ac.jp)までお申し込みください(※マークをアットマークに変更してご利用ください)。
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  • なお、バックナンバーはこちらのページをご覧ください。
  • 第1号から第60号までの総目次を、こちらからご覧いただけます。

PDF版へのリンクを修正しました。ご迷惑をおかけし、申し訳ありません。(2023年10月25日11時40分)

長内祐樹先生のお名前が誤っていたため修正しました。申し訳ありません。(2023年10月25日14時10分)