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法学類月報第105号を発行

法学類月報第105号を発行

法学類月報は、広報委員会および学生ボランティアの協力により、法学類の最近のトピックやコラム、エッセイなどを通じて法学類の「今」を関係者の皆様にお伝えするものです。

※試行的にhtml版を直接掲載しています。PDF版はページ下部のリンクからご利用いただけます。


今号は佐藤先生のエッセイ、久々の対面開催となった合同ゼミの話題、法学研究科主催のシンポジウムが盛況に終わった話題です。本学の法学系の研究室は大部屋ではないのでしばらく話さない同僚もいて、久しぶりに話を聞くと驚くことがありますが、今回もそのような話題が並んでいます。

 

教員エッセイ:
第65回
「コロナ禍を振り返って」佐藤美樹先生(法科大学院/刑事訴訟法)

2020年3月から在宅勤務になり、身体を動かすことも少なくなり、無為な時間を過ごすことが多くなった。6月頃限界を感じ始め、7月24日にジョギングをしてみた。それまで、小中高の体育でしか走ったことがなかった。最初は、自宅近く300mで息切れして帰ってきた。翌日は少し曇っていて2キロ走れた。風を切る音が新鮮だった。8月は家からW坂までの往復が楽にできるようになり、秋が来ても、冬の雪の中もとにかく毎日5キロ走り続けた。翌年の7月に、金沢市主催のマラソンランナーの講演会に行って、「どうやって、42.195キロ走れるのでしょうか」と質問すると、「まず30キロ走ってみて、大丈夫だったら走れる」とアドバイスを受けた。そこで、2021年8月、大野港まで往復30キロ走った。走れた。

2022年4月末、オミクロン株に感染してしまった。そして、ベッドの中で金沢マラソンの参加者募集をHPで見た。エントリーしてみた。42.195キロを10区間に区切りそれぞれ時間制限があることを初めて知った。1キロ8分以下で走らないと完走できない。それを42キロ。快復するとすぐ、毎日10キロ、肺活量や心拍数をあげるため、平日お昼は、医王山に毎日登り、土日はコースを走り、7月から9月は北アルプスの西穂、槍、奥穂に登った。

そして、迎えた金沢マラソン当日、3区目の山環は、金大の学生の声援を受けて一番速く走れた。1キロ6分。プラカードも趣向を凝らしてあり、「1万5千円払ってまで走るのだから、頑張れ」とか、「抽選にはずれた俺の分まで、頑張れ」とか。

コロナ禍を振り返ってみれば、学生に会うこともできず辛いこともあったが、ランニングという伴侶が得られた。

金沢マラソン2022メダル

 

寄稿:「思考の瞬発力+批判される喜び」について

昨年秋、刑事訴訟法ゼミは、3大学合同ゼミに参加しました。実に3年ぶりの対面開催です。「SDGsと○○ ―その限界と課題―」と題し、立正大学は刑事政策の分野から、武蔵野大学はソーシャルワークの分野からテーマを持ち寄りました。金沢大学は、「性犯罪に対する刑事司法手続とSDGs」です。学生たちは2か月準備して臨みましたが、その過程では、何度もダメ出しをされながらも粘り強く作業を続けました。(正直えらいなぁと思いながらも、欲張りな私は、もう少しいけるかなと最後までOKを出さない教員でした。)。

その成果があってか、各プレゼンとディベートは、白熱し充実したものでした。すなわち「この合同ゼミによって、自身の思考がこれまでより深化・進化」したということです。全く異なる勉強をしてきた者同士が集まるプレゼンの場では、全然想定していなかった方向から意見や質問が飛んできたりします。本番では、自身のこれまでの学習と瞬時にコネクトし、そこから回答を導いていき、自身の発展的意見を相手に投げ返すという思考の瞬発力が問われます。ぼーっと聞いているのは問題外ですが、後から「こう言えばよかった」もダメです。

もう一つ、相手からの批判を「喜んで」受け止めることも必要です。つい、厳しい批判を回避するような下準備をしてしまいますよね。でも、準備の段階で「ここまでは分かったけど、ここは何か自分でも納得いかないな。もしかすると、議論の中で解消できるかも」という心構えを持っていれば、相手からの批判は、理解への喜びと相手への敬意につながります。

このような作業の一端に、たっぷり浸れ、どっぷり疲れたゼミ生の皆さん、本当にお疲れさまでした。

合同ゼミの風景

大貝葵(刑事訴訟法)

 

最近の出来事から:法学研究科主催シンポジウムが開催されました!

昨年12月10日、金沢大学駅前サテライトにおいて法学研究科主催のシンポジウム「デジタルプラットフォームにおける透明化と事業者規制の行方」が開催されました。司会は土田和博氏(早稲田大学法学学術院教授)、発表者は中里浩氏(東京経済大学現代法学部教授)、王威駟氏 ((株)KDDI 総合研究所シンクタンク部門コアリサーチャー)と私、洪淳康(本学法学類教員)の3人です。

GAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)によって、私たちの生活はより便利で豊かなものになっています。しかし、一方で、例えばGoogleにおける検索上位の基準、Appleにおける自社指定の決済方法のみの認定、Facebookに集められた個人情報と広告への利用、Amazonにおける自社出品の商品の検索上位など、様々な論点もあります。大手デジタル事業者規制強化は世界的に先端の論点で、共通の流れですが、強すぎる規制はデジタル産業の後退につながるため、国または地域によって温度差もあります。 

シンポジウムにおいては、米国、EU、日本、中国、韓国における大手デジタル事業者に対する規制内容とその限界について、独占禁止法(競争法、経済法)の観点から、中里、王、洪が日ごろの研究成果を発表しました。大学関係者や弁護士、企業家をはじめ多くの参加者との間で活発な質疑応答が行われ、大変有意義なシンポジウムとなりました。

洪淳康(経済法)


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2023年1月26日:一部、不要な改行が入っていたのを削除しました。関係者の皆様、申し訳ありませんでした。