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法学類月報第93号を発行

法学類月報第93号を発行

法学類月報は、広報委員会および学生ボランティアの協力により、法学類の最近のトピックやコラム、エッセイなどを通じて法学類の「今」を関係者の皆様にお伝えするものです。

※試行的にhtml版を直接掲載しています。PDF版はページ下部のリンクからご利用いただけます。


今号は本間先生のエッセイ(『宝島』ってザ・スクエアかな?)、11月に行われた特別講演会の報告、進学予定の4年生から後輩へ向けた寄稿です。私事ながら、若人に直球で学ぶ楽しさを表明してもらって、私にとっても来年に向けてのいい刺激をいただきました。皆さん、よいお年をお迎えください。

 

教員エッセイ:第56回 Durch Leiden Freude!
本間学先生(法科大学院/民事訴訟法)

あちらこちらでベートーヴェンの『第九』が演奏される、年の瀬になりました。タイトルはそのベートーヴェンが友人に宛てた手紙の一節で、「苦悩を突き抜け、歓喜に至れ」という意味だそうです。『第九』制作時、ベートーヴェンは既に重度の難聴であったといいます。そんな中での作曲は、大変な苦悩を伴うものだったでしょうが、その苦悩を見事に昇華させ、長く人々に愛される楽曲を作ったのですから、さすがは楽聖です。

ところで、大学で勉強していると、ときに難しい課題に遭遇することはありませんか。中々結果が見えず悶々とし、こんなことをして何か意味があるのかと焦ることもありますよね。でもそこで投げ出すのはもったいないですよ。考え続けたその先に、課題を解決する糸口が待っているかもしれません。忙しなく結果が要求される世の中だけど、遠回りでも、そんなプチ “Durch Leiden Freude“ を体験できるところが大学の良さではないかと思います。

……という真面目な話を法学類月報に書くつもりだと卒業生の某君に話したところ、「先生がクラシックネタですか、アニソンじゃなく?」だって。あのね、私だって多少はクラシック聞くんですよ!『G線上のアリア』(fromエヴァ)とか、ラフマニノフ『ピアノ協奏曲第2番』(fromのだめカンタービレ)とか、あと吹奏楽曲だけど『宝島』(from響け!ユーフォニアム)とか。えっ、何?全部アニメ経由、しかも古いだって? きこえなーい。

皆様、よいお年をお迎えください。

劇場の画像

※イメージです

 

 

最近の出来事から:
「少年法」を学ぶ特別講演会を開催しました

第3Q後半となる11月、「家庭裁判所調査官の役割」及び「少年刑事弁護の実際」と題し、学外から講師の方をお呼びして特別講演会を開催しました。

前者では、金沢家庭裁判所から調査官にお越しいただき、調査官の仕事の内容や現在・将来の少年法についてお話を頂きました。調査官は、少年や保護者との面談を行い、少年がなぜ非行に至ったのかを一緒に考える、さらに、少年が地域に戻っていくために学校や地域との調整を行うといった仕事を担います。講演会では、実務につき具体例を用いながらリアルにお話いただきました。後者では、少年事件を担当する弁護士が、どう少年と向き合い、少年の言葉を引き出すのかをお伝えいただきました。このような弁護活動は、少年の意見表明権を保障するものであり、極めて重要な役割です。

いずれの講演会も、大変わかりやすかったと、受講生から大好評でした。また、いずれの講演会でも、非行少年のリアルな姿が見えたように感じます。

単に「悪いことをした少年」ではなく、成長過程で様々な困難に遭い、葛藤中で生きている少年たちに、社会がどう向き合っていくべきなのか。少年のために何かしたいという熱い思いを持った大人(=社会)である調査官や付添人の言葉から、多くのことを学ぶことができたはずだと私は考えています。

大貝 葵(少年法)

寄稿:
「学部時代に感じた“楽しさ”の正体」

集団での学習

※イメージです

私は来年度から大学院(国際私法専攻)に進学します。国際私法の分野が面白いと感じ、もっと勉学を深めたいと思ったためですが、2年前までは、まさか自分が進学の道を選ぶとは思ってもみませんでした。

私が幸運にも大学での学びの魅力に気づけたきっかけは、学部3年次の国際私法ゼミでした。ゼミというと、より専門的な知識を習得する場のように思われますが、国際私法ゼミは知識の習得が最終目標ではなかったと今になって思います。知識は議論するための共通言語であり、問いを通して自らの意見を形成していくことに重きが置かれていました。この、自らの意見を形成するプロセスには、これまでに感じたことのない楽しさがありました。

また、現在私は進学先の大学院でのゼミに参加させて頂いています。そこには、東南アジアを中心に世界中から来た学生が参加しており、多角的な視点からの議論が繰り広げられています。例えば、「Jurisdiction(裁判権)」という法概念について、日本法を前提とした議論のみではなく、各々の出身国の法をバックグラウンドとした議論が展開されているのです。このような議論の場で知見を深め、より多角的な視点から自分の意見を形成することが、今は楽しくてしょうがありません。

私が感じたこれらの “楽しさ” が学びの魅力だと思います。皆さんの進路はそれぞれでしょうが、私たちは大学で就職や資格試験のためだけに法律を学んでいる訳ではありません。在学中に一度でも学問として法学、法律学や政治学とは何かを考え、日々の学習を進めることは、非常に有意義だと私は強く感じます。

法学類4年 K. T.


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