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輔仁大学金沢大学学術交流・学生交換協定締結記念講演会

輔仁大学金沢大学学術交流・学生交換協定締結記念講演会

2012年12月に本学と輔仁大学が協定を締結したことを記念して,輔仁大学法律学院の呉豪人副教授による講演会「遅れてきた正義を求めて:台湾における修復的正義の現状と課題」を開催しました。
Restorative Justice(RJ)の台湾での定訳は「修復式正義」であり,それは「国家なき国家」の運命を強いられている台湾において,実定法の「司法」よりも自然法的な「正義」への憧れのほうが強いことを反映しているという指摘から始まり,台湾の民主化により,かつての独裁政権下の犯罪に対する処罰などが「転型的正義」(Transitional Justice, TJ)の観点から求められたが,結局,金銭的な補償程度の不十分なものに留まってしまったこと,戦前の台湾総督府の『番族慣習調査報告』によれば,先住民族の一部では死刑がなく,罪という概念もなく,現代社会よりもRJ的な社会であったことなどの説明がありました。全体としてTJ, RJの観点から,現代台湾社会への批判と将来の展望を,正義という普遍的な理念に依拠して試みるという,非常に大きなスケールの,聴衆の思考を刺激する講演でした。
なお,同講演には,輔仁大学法律学院の陳栄隆教授(副学長),林秀雄教授,謝志鴻副教授(法律学系主任)と,東呉大学法学院の李玲玲副教授にもご参加いただきました。
今後も,輔仁大学の教員・学生との活発な交流を行なっていく予定です。(文責:足立)